朝ドラ「あんぱんまん」を観ていて、学んだことがあった。
ドラマの内容は、柳瀬たかしさんの実際の人生をそのままなぞったものではない。
脚本家中園ミホさんの脚色も混ざっている。ただしその割合はよく分からない。
まず、なぜ柳瀬氏は”アンパンマン”をヒーローにしたのかという理由も分かった。
これはほとんどドラマの脚色なんだろうが、餡パン職人のおじさんとの出会いだ。
そのおじさんの指導で、ヒロインの朝田のぶの実家で餡パンを作ることになった。
今は、スーパーで数えきれない菓子パンが並んでいるが、戦前はそうではなかった。
特に地方では、餡パン1つさえ食べたことがない人が多かった。
そんな人々が初めて餡パンを食べた時は、美味しさに感動さえ覚えたことだろう。
アンパンマンを初めて見た時は、自分の顔を食べさせることには違和感を感じた。
いくら献身的とは言え、飢えた人にそこまでやる行為とキャラクターは気味が悪い。
ぼくが感じたことは、アンパンマンを見た当時の大人たちがみな感じた事だと言う。
でも、自分の顔を食べさせるという行為は、究極の自己犠牲の象徴なのだと思った。
脚色された部分だろうが、多分柳瀬氏の悲惨な戦争体験から来ているのだとも思う。
ドラマでは、従軍時に仲間と飢えてさ迷った時、中国人の女から玉子をもらう。
貧しい農家の貴重な蛋白源を脅して奪ったのだが、彼らはむさぼるように食した。
あまりに飢えていたので、殻を剝かぬまま卵にかぶりついていた様が印象に残る。
戦争の中では、命をつなぐためにこのような壮絶な現場が実際にあったに違いない。
なにしろ、日本軍の兵士が死んだ最大の要因は戦闘ではなく、飢えと病気だ。
陸軍大学校や海軍兵学校出身の「エリート」たちが、ひどい作戦を立てたためだ。
兵站(へいたん)もお粗末で、前線の兵隊たちに食料さえ届かないことも多かった。
ともかく、一世を風靡する様なキャラクターが登場するのは、簡単なことではない。
アンパンマンができるまで、柳井さんの人生には様々な苦労と紆余曲折があった。
自死を考えた青春もあったし、勿論、なかなか漫画家として売れない時期があった。
自分の顔を飢えた人に食べさせたアンパンマンは、ジャムおじさんのところに行く。
そこで、自分の顔を再生してもらうのだ。これも、何かを暗示し象徴していないか?
そう、自己犠牲さえいとわない人も、誰かによっていやされ救われるということだ。
世の中、助けたり助けられたりして、結局人々はつながっているということだね。


